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言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜

管理人が妄想したシーンやシチュエーションをショート・ストーリー(?)にしたもの。
ジャンルはファンタジー・恋愛などなど。

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シャークスキン王国奪還記(仮)プロローグ
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JUGEMテーマ:ファンタジー小説

 

 いつも始まりは、その大階段の所だった。大理石の、幅の広い階段。吹きぬけのホールの天井には華麗なシャンデリアがかかっていて……自分――いや、その人は、そんな階段を必死に駆け上っていく。走りながら、名を叫ぶ。
「シヴェット……!シヴェット……陛下……っ!」
 白亜の宮殿、という形容がピッタリとハマりそうな美しい城内の、鏡のような廊下を、半ば滑るようにその人は走っていく。この“夢”のラスト・シーンの舞台である、あの部屋へと……。
 その部屋は、城内でもひと際豪華で巨大な白い扉の向こうにあった。その人は、息を切らしながらノックもせずに扉を開く。
 その人の探していた人物――シャークスキン王国国王シヴェット・クール・シャンブレーは熱風に髪をなぶらせ、一人バルコニーから城下を見下ろしていた。戦火に燃える城下を……。
「シヴェット……陛下、ここにいらしたのですね」
 その人は安心したように吐息し、バルコニーに立つ主の元へ歩み寄っていった。
 シヴェットは静かに振り向く。王とは言え、まだ20代そこそこの年若き青年である。未だ少年の頃の面影を残したその顔には、だが、一切の表情が無かった。
「……ご覧の通りです。この城に踏み込まれるのも、もはや時間の問題でしょう。早くお逃げになってください」
 その人は苦い声で王に告げる。だが、彼は顔色ひとつ変えずに言った。
「私は逃げぬ」
「……え?」
「民を見捨て己だけ助かろうとは思わぬ」
「諦めないでください!今は国を奪われようと、生きてさえいれば、いずれ取り戻せる日も……」
「……おめおめと王都にまで敵の侵入を許してしまった私には、到底無理なことだ。私は、あの皇帝と戦えるだけの器ではなかった。選択を誤り、国を焼き、民の血を流した報いは受けねばなるまい」
 王は目を伏せ、静かに言葉を紡ぐ。その人は、耐えられないとでも言うように首を振り、叫んだ。
「それでも……!貴方を守るのが私の使命です!貴方と、この国を守ることが……!」
 王は、どこか憐れむような眼差しでじっとこちらを見つめていた。
「…………それに、これは貴方のせいなんかじゃない。全ての元凶は……」
 言いかけた言葉は、すぐに遮られた。
「それは違う。それを言うなら、全ての原因はお前をこの国に連れてきた私……いや、俺にある。お前の背負う運命も何もかも知った上で……それでも俺は、お前をこの国――俺のそばに連れて来ることを選んだ。俺ならお前をその運命から守れると思っていた。……とんだ思い上がりだったがな。結果は、王として守るべき国さえも巻き込んで、このザマだ」
 少年の頃のくだけた口調に戻り、王は苦笑した。
「だが、それでも俺は……お前をこの国へ連れて来て良かったと思っている。民たちも、お前を恨んでなどいないだろう。お前は、この国の民に幸福をもたらしてくれた。そして民たちも、お前のことを心から敬愛していた。たとえ今日この国が滅びようと、それだけは変わることなき真実だ」
「シヴェット……頼むから、死ぬなんて言うな。お前が死んだら、私はまた……」
 その人もまた、それまでの言葉遣いを棄て、まるで親友に語りかけるかのように王に懇願する。涙が頬をつたう感触がした。
「……最後まで、ひどい奴だな、お前は。そんな顔で、そんなことを言わないでくれ。俺の望みを受け入れる気もないくせに」
 言葉ではなじりながらも、その顔と声は苦笑のままだった。
「シヴェット……私は…………」
 その人は、何かを言おうとして、だが、何も言えずに黙り込む。
「……分かっている。ひどいのは俺の方だな。お前の運命を知りながら、最後の最後まで性懲りもなく、わずかな期待に縋っている。もう、妻も娘もいるというのにな」
「シヴェット……」
「ヴェルヴェットは先に逃がした。お前は、王女と共に逃げろ」
 王は未練を振り切るようにキッパリと告げた。
「姫を頼む。勝手だとは思うが、私ではなく、私亡き後の王位を継ぐあの子を、お前の“守るべきもの”に……」
 そこで、言葉は途切れた。遠く城下から、青い閃光が放たれ、一瞬でバルコニーに立つ青年の胸を貫いた。
 氷の矢。本来なら、ヒトの持つはずのないチカラ……。
 喉から悲鳴が迸るのが分かった。だが、それは耳には聴こえない。全ての音声が、その場から消え去る。音だけでなく、世界自体、闇に堕ちたようにブラックアウトする。
 それが何度も繰り返されてきたその“悪夢”の、“夢の終わり”だった。
 
「いやあぁぁあぁぁっ!」
 少女は絶叫し、その声で目が覚めた。額も背中も汗ばみ、頬には涙がつたっている。
 少女は心を落ち着かせようと大きく息を吸い込み、両膝を抱えてベッドの中にうずくまった。
(これで、何度目なんだろう、この夢……)
 もう、数えるのも億劫になってしまうほどに繰り返し見る悪夢。初めのうちは恐くて、眠るのさえイヤなほどだった。
 頭を押さえてため息をつくと、コンコンとノックの音が聞こえた。
「リンネル、ちょっと入ってもいいかの?」
「……うん。おじいちゃん」
 リンネルが言うと、ランプを片手に持った老人が姿を現した。リンネルのただ一人の家族、フランネルだ。
「また、あの夢か?」
 フランネルが訊くと、リンネルはこっくりとうなずいた。
「お前も難儀じゃのう。過去の出来事を夢に見るのは占術師としての潜在能力が高い証ではあるのじゃが……その夢が王国滅亡の日の夢とはのぅ……。能力を抑える方法も、きちんとした占術師が里におれば分かるのにのぅ……」
「……しかたがないよ。王国滅びたのに、こうして帝国の奴隷にもならずに生き延びられてるだけで“もうけもの”なんだから。あんまりゼイタクは言えないでしょ。それに、夢の中だし最後には死んじゃうとは言え、今はもういない王様の姿をハッキリ見られるなんてラッキーだし」
「お前は本当にシヴェット陛下のことが好きなんじゃな」
「うん!だって超イケメンだし!……でも、あの王様の顔って、何っとなく、どこかで見たことある気がするんだよねぇ……。何でなんだろう?王国滅びた頃って、私、赤ちゃんだったはずなのに。ねぇ、おじいちゃん。私、王国にいた頃、王様と直接会ったこととかあるの?」
「……どうじゃろうのぅ。覚えておらんのぅ」
 フランネルはどこかはぐらかすようにそう言った。
「……にしても、あの夢、誰の見てる光景なんだろう……。ずっと、誰かの視点から物を見てる感じなんだけど。たぶん、国の重要人物で、王様とも仲が良い感じで、王様の最期を見届けた…………ねぇ、おじいちゃん。そういう人、この里にいる?」
 リンネルの住む里・アリッサムは、帝国の侵攻から逃れたシャークスキン王国の住民――それも、一般庶民ではなく、国の重要機関の要職に就いていた人物やその子どもたちの暮らす隠れ里だ。だから、リンネルの夢の“主人公”である人物がいたとしてもおかしくはない――そう思って訊いたのだが、フランネルは首を横に振り、ふっと真面目な顔になって呟いた。
「……ひょっとするとその夢、死霊の見る夢なのやも知れんのぅ……」
「……え?何?」
「……いいや、ただのひとり言じゃよ」
 

 

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・主に高校時代に書いていたファンタジー小説のプロローグ部分に加筆修正を加えたものです。
 
・とある王国がとある帝国に滅ぼされ、その生き残りたちが隠れ里で暮らしながら王国奪還の機会を狙っています。
 
・物語の中心となるのは隠れ里の少女リンネル(愛称リンネ)。隠れ里には他に彼女と同い年の少女が2人います。1人はスタイルの良い短髪美女のジョーゼット(愛称ジョー)、もう1人は隠れ里の頭領の娘(次女)シャギーです。
 
・彼女たちは王国を取り戻すため、日々特殊な訓練を受けながら里に暮らしています。
 
・舞台は西洋ファンタジー的ですが、アクション的には忍者魔法なイメージです。
 
・作中に出て来る「ヴェルヴェット」はシヴェット王の従兄妹で王妃です。現在その身柄は帝国領となったシャークスキン王国王都にあります。
 
・隠れ里にはシヴェット王の娘、つまり王女も生存していますが、本人は自分の素性を知りません。
王女=リンネルだと設定が単純過ぎるので、それは無しの方向で書いています。でも、だからこそ物語前半ではリンネル=王女ミス・リードを結構書いていたりしたのですが。それと、実はリンネルは王女以上に国の重要人物です。)
 
・ストーリーを作ることより、設定やキャラクターのラクガキを描くのに夢中になっていた頃のモノですので、構成等グダグダで、ちゃんとした形で発表するにはかなりの練り直しを要します……。
(その分、ラクガキは多いです。そちらはそのうちラクガキ・ブログ(ファンタジー設定ラクガキ倉庫)に載せていこうと思っています。)
 
・キャラクターや地名のネーミングは布の名前や糸の名前、針の名前、植物の名前等から取っています。
 
・当時つけていた帝国の名前は「ニードル帝国」で、今見ると、いろいろ単純過ぎるのでどうしたものかと……。
 
・王国の名前「シャークスキン」は布の種類ですが、意味的にはまんま「鮫肌」のことでもあります。サメ肌王国……。
 
・人物名のミドルネーム的位置にある「クール」だとかいう言葉は「個人名」ではなく、その人の身分や階級を示す言葉です。「クール」は「王」や「皇帝」を表し、王子・皇子は「リクール」、女王・女帝は「メイア」、王女・皇女は「リメイア」…という設定を高校生当時に創っていました。言葉は語感の良さで選んでいて、特に意味も語源もありません。当時、そういう細かい設定を創るのが大好きでした……。
 

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