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言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜

管理人が妄想したシーンやシチュエーションをショート・ストーリー(?)にしたもの。
ジャンルはファンタジー・恋愛などなど。

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在位九日の少女王の恋 〜A Tribute to Lady Jane Grey〜
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JUGEMテーマ:短編小説

 

 二月の冷たい風に、僕の処刑を見るために集まった冷たい群衆の視線。
 最期に見るのがこんな光景だとは、僕もよくよく救われない。
 せめて、もう一度、君に会ってから死にたかった。君の顔を見て、君の声を聴いて、君と悲しみを分かち合ってから死にたかった。
 だけど、本当は分かっている。君と僕とが同じ気持ちを分かち合うことはできないと。
 夫婦として契りを交わしても、心まで分かり合えるわけじゃない。君と僕が互いを分かり合うには、時間があまりに短過ぎた。
 式を挙げて一年足らず。実質的に夫婦として共に過ごせたのは、わずか2ヶ月……。
 それでも僕は君を愛していたけれど、この想いは、ちゃんと君に伝わっていただろうか。
 分かっていて欲しい。だけど、分かってもらえていなくても……君が僕を愛してくれていなくても、仕方がないことなのかも知れない。
 僕は君を、この呪われた家系に引きずり込んだ。この破滅の運命に、君まで巻き込んでしまった。
 君はもう、この運命を受け入れたと、人伝に聞いたけれど、僕はまだ諦めきれてはいない。
 だって、未だに分からないんだ。僕と君に、死に値するような罪なんて、本当にあったのだろうか、と。

 僕の祖父が首を ( ) ねられたのは、僕の父がまだ子どもの頃のことだったと言う。
 祖父は税の徴収に関わる仕事を任されていて、その仕事柄、人の恨みを買うことも多々あったらしい。税収は国の大切な財源だ。取り立てる相手から嫌われようと、誰かがその役目を負わなければならない。
 けれど祖父が憎まれ役を買ってまで果たした務めの代償は、大逆罪による処刑という、割に合わないにもほどがあるシロモノだった。
 祖父を死に追いやったのは、祖父が仕えた王の息子。それまでどれだけ王に忠誠を尽くそうと、その王が崩御し御代が替われば、全ての関係がリセットされる。
 新たな王は、祖父が恨みを買う立場にあったのを良いことに、国民の不満の矛先を全て祖父に向けさせ処刑することで、自らの地位を盤石なものにしたのだと、父は語った。
 権力とは、そして王の代替わりとは、それほどに危険で理不尽で恐ろしいものなのだ、とも……。
 祖父を殺した新たな王は、自らに尽くした重臣さえ、わずかの失敗で首を刎ねた。妃すらも次々と替え、そのうち二人を処刑場に送った。
 少しの過ちが文字通り“命取り”になりかねない、綱渡りのような危うい時代――そんな時代を生き抜いてきたせいか、父は 権力 ( ちから ) というものに固執した。
 権力の無い者に生き残る資格は無い――全てを手に入れるか、全てを喪うか、二つに一つなのだと、そう言うかのように……。
 

 祖父を殺した王が崩御し、後を継いだのは、まだ9歳の少年王。すぐに有力貴族の間で、実権を握るための争いが始まった。
息子が一部の廷臣の操り人形にならないようにと遺された先王の遺言は無視され、結局は新王の母方の伯父が摂政の座を手に入れた。だが、そんな彼もまた謀略に敗れ、その座を失った。彼を罠にはめ、処刑場送りにしたのが、僕の父だ。
 父が手を汚してまで手に入れた、実質的なこの国の最高権力者の地位……。けれどそれは、あまりにも儚いものだった。
 父の仕えた少年王は生来病弱で、その命が長くないであろうことは誰の目にも明らかだった。
 すぐにでも、また王の代替わりがある。……そして次の王になるであろう人物は、父にとってあまりにも都合の悪い相手だった。

 君との縁談が決まった時、僕は父の思惑も知らされていた。
 間もなく命尽きるであろう少年王の次の“寄生先”として、父は君に目をつけた。
 王家の血を引く君を僕と結婚させ、本来の継承順を飛び越えてでも次の新たな王に据えてしまえば、父の権力と命は守られる。
 全てを知っていて、それでも僕は逆らわなかった。家を継ぐ長男でもなく、まだ二十歳にも満たない若造の僕に、発言権など無きに等しい。それに、このまま父が失脚し処刑されるのを黙って見ていることもできない。
 ただ、何も知らずにこの家の運命に巻き込まれる君を「可哀想だ」と思ったのを覚えている。

 貴族の結婚は、本人同士の意思など入り込む余地も無く、家同士の思惑で勝手に決められるのがほとんどだ。
 上に兄が三人もいて家督を継ぐ可能性などほとんど無い僕は、早いうちから女性の扱いを覚えさせられた。
 権力も財力も持たぬ部屋住みの身でも、身分の高い女性に取り入ることができたなら、出生栄達が望める。
 美形の多い我が家の血は、幸い僕にもきちんと受け継がれていて、女性の人気はそれなりにあった。けれど、そんな外見や恋の手管など、君にはまるで通用しなかった。

 君がこの結婚に乗り気でないのは、顔を見ればすぐに分かった。
 その心を解きほぐそうと、優しく微笑みかけても、甘い言葉を囁いても、君の顔は曇ったままだった。
 これは駄目かも知れないと諦めかけていたのに――君は、結婚披露宴の食事にあたって倒れた僕を、優しく気遣ってくれた。
 意に染まない政略結婚のはずなのに……僕のことを嫌っていると思っていたのに、どうしてそんなことをしてくれるのか……。不思議な 女性 ( ひと ) だと思った。

 君は、今まで僕が出逢ってきたどんな女性とも――いや、どんな人間とも違っていた。
 貴族の子女として親の言いなりに育ってきたのは僕と同じはずなのに、君には“自分”というものがしっかりあるように感じられた。
 逆らえば叱責されると分かっているのに、親や歳の離れた大人たち相手に堂々と自分の意見を告げる君を、尊敬にも近い感情で見ていた。
 経験も人脈も何の権力も持たない僕たちは、ただ周りに流されることしかできなかったけれど、それでも君は諦めずに戦おうとしていた。
 僕には無いその毅さを、眩しく思った。それでも報われず苦しむ君を、自分のことのように哀しく思っていた。

 君を知るまで、僕は恋を知った気になって、その実、全く分かっていなかった。
 恋の“形”ばかりを先に覚え込まされて、それが全てなのだと思い込んでいた。身体さえ結ばれれば、それで良いのだと思っていた。
 だけど……どれほど肌を触れ合わせても、満たされない想いがあることを、初めて知った。
 形ばかりの契りを交わしても心が通い合わない空しさを、初めて知った。

 君はきっと、元々とても情が深い人なのだろう。
 嫌々結婚したはずの僕とも、向き合う努力をしてくれた。少しずつではあったけれど、笑顔を見せてくれるようになった。時折見られるその微笑みが、滅多に見つけられない宝物を見つけたようで、僕は好きだった。
 君にも僕を好きになって欲しかった。君をもっと笑わせたかった。けれど、僕にはどうすれば良いのか分からなかった。
 君は、口でいくら容姿を褒めたところで、世辞だと思って聞き入れてくれない。他の女性なら通じるアプローチも、君にはまるで効果が無い。
 ただ、君の好きな古代ギリシャの話をねだった時には、嬉しそうに語ってくれた。
 本当は、僕が興味があったのは同じ古代ギリシャでも芸術に関することで、君の好きなギリシャ哲学とは話題が少しズレていたのだけど……珍しく目を輝かせて語る君の顔を見ていたくて、言い出せずにずっと難しい哲学の話を聞き続けてしまった。
 あのまま、少しずつでも心を近づけ合って、本当の夫婦になっていけたら良かったのに……。

 君と結婚してから2ヶ月も経たないうちに、身体の弱かった少年王はとうとう崩御してしまった。遺言書で時期国王に指名されたのは、君。――もちろん父の策略だった。
 何も知らされていなかった君は、半狂乱になって拒否したね。でも、結局は周りの大人たちに押し切られてしまった。あの時の僕には、どうして君がそこまで即位を渋るのか、まるで理解できなかった。

 王とは言うまでもなく、この国の最高権力者だ。その座にあれば、誰に脅かされることも、誰の機嫌を窺う必要も無い。権力者の気まぐれに怯え、未来の自分が斬首される悪夢にうなされることもない。愛する家族だって友人だって誰からも傷つけられないように守ることができるし、誰に気兼ねすることもなく言いたいことが言え、国の行く末さえ自分の望む方向に動かせる。
 そんな素晴らしい地位が手に入るのに、なぜ自分からそれを棄てようとするのだろう――あの時の僕は、ただ単純にそんなことを思っていた。

 父は当初、君の伴侶である僕も、王として一緒に即位させるつもりだった。だけど君は、それだけは断固として拒否した。
 その日、僕と君は初めてケンカをした。
 君は僕に言ったね。「王位なんて、貴方が考えているほど素晴らしいものでも何でもない」と。
 それは、きっとそうだろう。僕だって、王位がただ素晴らしいだけのものだなんて思っていない。
 だけど君の語るそれは、王位さえ望める血を持ち生まれたから言えることだ。玉座に就いた後の重圧や責任への不安など、その可能性をわずかでも持っているからこそ考えつくことだ。
 自分より強い権力を持つ者にびくびくし、自分と家族の未来のために少しでも高い地位を渇望する人間の気持ちなど、きっと君には分からない。
 これまでに何百、何千、いや何万という人間が、心密かに王の座を夢見、けれど叶うはずもない夢と諦めてきたことだろう。どれほどの数の人間が、王の理不尽な命に苦しみ『なぜ自分ではなく、あの男が王として生まれついたのか』と運命を呪ったことだろう。
 綺麗事だけでは大事なものは守れない。手に入れられる時に力を手に入れておかなければ、いざと言う時、命取りになる――僕は、そう聞かされて育った。
 君が嫌がり拒否しようとしたその王冠を、僕は煮えたぎる湯の中からだって拾い上げたいほどに欲しかった。
 本来“王族”という選ばれた血筋でなければ望むべくもないそれを、王族でも何でもない、まして反逆者として裁かれた者の血を引く僕が手に入れるなんて、まるで途方もない奇跡のようじゃないか。
 ――だけど、その奇跡を君は否定した。
 どれほど言葉を尽くしても君には分かってもらえなくて、君と僕とは違う人間なのだと、絶望的なまでに思い知らされた。

 あんな言い争いをして、てっきり君にはもう嫌われてしまったと思ったのに、母が怒って僕を実家へ連れ戻そうとした時、君は女王の威厳でもって母を黙らせ、僕を引き留めた。
 意見の合わない僕を、なぜ君はそれでもそばに置いてくれたのだろう。あの時の君の気持が、未だに僕にはよく分からないんだ。

 君がなぜ、あれほど王位を疎んでいたのか、今では僕もさすがに理解している。
 玉座の上には、髪の毛のような細い糸で吊り下げられた剣があり、そこに座る者の命を常に脅かしている――“ダモクレスの剣”と呼ばれるその故事は、確か君が好きな古代ギリシャのものだったね。
 王という立場でさえ、安泰なものなどでは決してなく、臣下の裏切りや民衆の反乱に常に脅かされ続ける。そのことを僕が思い出したのは、実際に己の立場と命を脅かされてからだった。
 僕たちは王位を守りきるにはあまりに若く、その上、周りの大人たちはまるで頼りにならなかった。
 本来王位を継承するはずだった姫君が挙兵すると、廷臣たちはあっさり僕たちを見放した。
 父は、現在の国教とは違う古い宗教を信仰する姫君に皆の支持は集まらないと踏んでいたらしい。が、実際には宗教の違いより何より、血の正当さこそを国民は支持した。

 彼女を支持した人間のうちどれほどが、彼女が王位に就いた後のこの国の姿をちゃんと見据えていただろう。
 君を見限った人間のどれほどが、君の毅さや優しさを、ちゃんと知っていただろう。
 王の人格でも目指す国の姿でもなく、“正当な王位継承者が不当に簒奪された王冠を奪い返す”という、よくある分かりやすい 物語 ( ストーリー ) を、国民は選んだ。
 君と僕は反逆者として為す術もなく捕らわれ、牢へと送られた。
 君が王位に就いて九日。あまりに短い在位だった。

 僕には未だに分からない。結局、何が悪かったのかと。
 君が、もっと王位に近い血に生まれなかったのが悪かったのか。僕が、権力を得るために手段を選ばないような父の下に生まれたのが悪かったのか。
 それともこの世界が、自分の命を守るために他者を犠牲にしなければいけないような、そんな残酷な世界なのが悪かったのか。
 結局、何をどう生きれば、僕と君は幸せになれたのだろう。それとも全ては運命により予め定められていて、何をどう足掻いたところで、何ひとつ変えられなかったのだろうか。

 牢に入れられてから5ヶ月近くが経ち、とうとう僕たちの処刑の日が決まった。
 それを告げられた時には怯えて泣き喚いたりもしたけれど、今は何とか虚勢を張ることができている。もう、泣こうが喚こうが、事態は変わらないから。せめて立派な最期だったと観衆の同情を買えるよう、恐怖を堪えて演技する。
 ヒトは単純で気まぐれな生き物だから、悪人だと蔑んだ相手でさえ、健気で堂々とした態度を見れば簡単に憐れんでくれたりする。まして君はまだ十六歳。僕もまだ二十歳にも満たない若さだ。
 そんな僕たちへの同情は、この処刑を決定した残酷な新女王への不信感や不満となって新しい御代に陰を落とすだろう。僕にできる抵抗は、もはやそれくらいしか残されていないのだ。

 本当は今も、恐くて仕方がない。なのに、妙に実感が湧かないでいる。
 今はこうして確かに物を考え生きている僕が、明日には――いや、数分後にはもう存在しないなんて、どういうことなのか理解が及ばな過ぎて、想像もつかない。
 死そのものに対する恐怖より、そのために与えられる痛みへの恐怖の方が勝っているくらいだ。

 44年前に僕の祖父が斬首刑に処せられ、半年前には父も首を刎ねられた。そして今日はこの僕が……。
 三代も続けて大逆の罪で処刑されていれば、充分“呪われた家”と呼べるだろう。
 祖父は、そして父は、どんな気持ちでこの時を迎えたのだろう。
 そして、今日という同じ日、僕の後に処刑の時を迎えるはずの君は……。

 昨日、最期に一目君に会いたいと望んだのに、君は「会っても辛くなるだけだから」と拒否した。
 その言葉は、君の本心なのだろうか。本当は、この運命に巻き込んだ僕を憎み、顔も見たくないと思っているのではないだろうか。
 僕は、君に憎まれても仕方のない男だ。
 だって僕と結婚したせいで、君は今日、命を喪ってしまうと言うのに、それでも僕は君と夫婦になれたことを幸せだったと思ってしまっている。
 君と僕が結ばれなければこんな運命は訪れなかったのだと分かっていても、君以外の人間と結ばれる運命を想像もできずにいる。
 だから結局、僕のこの人生の結末は、自業自得なのかも知れない。

 もう、最期の時が来る。目隠し布を巻かれ、冷え冷えとした世界の姿さえ見えなくなる。
 ――痛くないといいな。僕も。そして、君の時も……。
 処刑場に身を横たえ、僕は閉ざされた視界の中で、そっと君の面影を偲んだ。

 

記事続き

 

歴史上の人物や事件を元に妄想を膨らませた恋愛短編小説集「恋愛群像ヒストリカ」シリーズの第2弾です。
(元ネタは史実ですが、あくまでフィクションです。)
 
・今回の元ネタは、イングランド史上初の女王とも言われる少女「ジェーン・グレイ」にまつわる史実です。
 
・こちらのブログ版はジェーン・グレイの夫ギルフォード・ダドリー視点ですので、タイトルを〜A Tribute to Guildford Dudley〜にするかどうか悩んだのですが、第1弾が両方とも〜A Tribute to Catarina de Braganca〜で統一されていますので、こちらも統一しました。
(「恋愛群像ヒストリカ」はエブリスタさん版とブログ版で語り手(視点)が異なります。)
 
・ギルフォードの生年は資料によって異なり、ハッキリしていません。「二十歳そこそこ」と書かれている物語もあったりしますが、ここでは1536年生まれ説(一番若い説)を“イメージして”書いています。
(ウィキペディアに掲載されていた肖像画が幼い印象だったのと、若い方が物語的に悲劇感が増すからです。本編中でハッキリ年齢を明記したりはしていませんが…。ちなみにジェーン・グレイは1537年生まれです。)
 
・日本史だと(生前から兄弟や親子で対立していたという場合以外)あまり例が無い気がするのですが、イギリス史では反逆者として処刑された者の家族が、同じ王もしくは同じ王朝の下で高い地位を得ている例が結構あります。ギルフォードの父も最終的に公爵になっていますし、そのギルフォード父の罠にはまって処刑されたサマセット公の息子も、一度は爵位を没収されたものの、後に初代ハートフォード伯となっています。
(さらにはジェーンの実母と妹は、ジェーンを処刑した女王の侍女となっていたりします。)
 
・ギルフォードの性格については物語によって様々な解釈がありますが(謀略を企てた父親の所業に引きずられて“ちょいワル”だったり、親の言いなりのボンボンとして描かれたりすることが多いようです…)、印刷業者の知人から「感じのよいジェントルマン」と書き残されているあたり、少なくとも平民を卑下して差別的に扱うような人物ではなかったと思われます。
 
・ギルフォードの美男子設定は史実に基づくもので、上記印刷業者のリチャード・グラフトンもそのように記述しています。肖像画を見ても、ギルフォードのみならずその兄弟たちも美形だったであろうことが窺えます。
(もっとも肖像画と実際の人物が同じ顔という確証は無いのですが…。肖像画だけで結婚相手に決めた王女の実物が絵とあまりに違い過ぎたせいで、すぐに離婚された例もありますし…。)
 
・政略結婚とは言え、ギルフォードはジェーンに対し愛情を持っていたらしく、牢獄であるロンドン塔の壁に刻まれた“ジェーン”という文字は、彼が刻んだものと言われています。
(ロンドン塔の壁には囚人が刻んだ文字や文章が数多く残されています。)
 
・実はジェーンとギルフォードはロンドン塔収監後にも会うことができていたという説もあります。ジェーンが処刑場にまで持って行った(そして後に処刑されるジェーンの父に形見として遺した)祈祷書の余白にギルフォードのメッセージが遺されていたという事実があるためと思われますが、その物証だけだと、それが実際に顔を合わせて会っていたということなのか、それとも人を介してメッセージのみのやりとりしていたのか分かりませんので、本編ではそのあたり触れていません。
(もしかしたらその辺の資料が別にあったりするのかも知れませんが、津籠は入手できておりませんので。)
 
・ちなみにロンドン塔に囚われた後も互いに会っていたカップルの例は後の世に実際あり、それがジェーンの妹キャサリン・グレイと、ジェーンの元婚約者エドワード・シーモア(ギルフォードの父に罠にはめられ処刑された“少年王の伯父”の息子)だったりします。
(しかも会うどころか子どもまで作っているのです。)
 
・本文中でギルフォードには「上に兄が“三人”いる」と記述していますが、これは当時生存していた兄のみカウントしたもので、早世した兄弟も含めれば5人の兄がいる六男にあたります。
 
・兄三人はギルフォードと共にロンドン塔に収監されますが、後に放免されています。
(ただし実質的な長男であるジョン・ダドリーはロンドン塔を出て間もなく死去しています。)
 
・ギルフォードのすぐ上の兄ロバート・ダドリーは、後にエリザベス1世の寵愛を受け出世を遂げます。ただし、既に妻があったことと、その妻が他殺か事故死か分からない状況で死去したため(邪魔になった妻を殺したと周囲に疑われ)、女王の夫となることはありませんでした。
 
・ジェーンとギルフォードの処刑を決定した新女王は後に「ブラディ・メアリー(血まみれのメアリー)」と呼ばれることになるメアリー1世エリザベス1世の腹違いの姉)です。
(メアリー1世は即位後5年あまりで病死しますが、在位中はプロテスタントへの迫害で女子供を含む300人ほどを処刑したと伝えられています。)
 
・「最期に堂々とした姿を見せれば民衆が同情してくれる」は後の世の実例を元にしています。ピューリタン革命で処刑されたイギリス国王チャールズ1世は、革命を起こされてしまうほどに不満を持たれた王でしたが、処刑に臨んだ際の堂々とした態度で株を上げ、人気を取り戻したと言われています。
(もっとも国王を排除したがっていたのは国王と対立していた議会のみで、国民は重税に不満は持っていたものの、国王の処刑までは求めていなかったとも言われています。)
 

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