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言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜

管理人が妄想したシーンやシチュエーションをショート・ストーリー(?)にしたもの。
ジャンルはファンタジー・恋愛などなど。

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乙女ゲーム風小説・軍人系キャラ攻略ルート(RPG風冒険ルート)没シーン
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JUGEMテーマ:ファンタジー小説

 

「……空気が変わったな。次の階層に入ったか」

 

 私の目には何の変化も見当たらない山道の途中で、ふいにノイルがそう言った。

 

「階層……?」

 

《こういった山岳型のフィールドでは、標高がある程度上がるごとに“階層”が変わって、出現するモンスターの種類も変わってくるのだわ。ここからは木ノ葉鬼より強いモンスターが出て来るから、気をつけるのだわ》

 

「それって、どんなモンスター……?」

「……説明を聞くより、実際に見た方が早いだろう。今こちらに向かって来ているアレがそうだ。……秋津龍(イルフ・ノガード)だな」

 

 道に先に見える、パッと見、羽虫の集団のようにしか見えないものを指差してノイルが言う。

 徐々に近づくにつれ、それがただの虫でなく、羽の生えたタツノオトシゴのような形をしていることが、私の目にも明らかになってきた。

 

《正式名称・火炎秋津龍(イルフ・ノガード・パンス)火系統(エリフ)の魔術を操る超小型ドラゴンなのだわ。炎の息(セルブ・エリフ)の魔術を使う他、頭部の炎のトサカに触れてもヤケドをするから注意なのだわ》

 

 虫のように小さいが、それは確かに竜だった。背にはトンボの羽のように透き通り、ヒイラギの葉のようにギザギザした形の四枚羽、額から首の後ろにかけて燃える炎のトサカを持つ、赤褐色の細身のドラゴン。

 

「と、とにかく迎撃しないと……っ」

 

 あわててスコープを覗き狙いを定めようとするが、今度の敵は小さく数が多い上、素早く空を飛んでいるので、木ノ葉鬼(イノア・ホノク)の時のようにはいかない。スコープにGOサインが示されても、矢を射るより先に相手が動いてサインが消えてしまう。

 

「退がっていろ。こういう機動力の高い敵に対し、狙撃手が近接戦を挑むのは愚行でしかない。後方へ下がり身を隠し、己の安全を確保しつつ、一匹一匹を確実に仕留めていけ」

「ハ、ハイ……ッ!」

 

 言われるままに後退し、木の陰に身を潜める。敵から距離がとれたことで、さっきよりは落ち着いて弓を構えることができた。

 

「まず、一匹……っ」

 気合いを入れて矢を放つ。だが、わずかにタイミングがずれ、矢は秋津龍の脇をかすめただけだった。

 

「あぁ……っ!外しちゃった……!」

 

《大丈夫。アリスが外しても、ノイルが仕留めてくれるのだわ。ホラ》

 ノイルは春花(アルカス)の木を背に立ち、秋津龍たちを迎え討とうとしているようだった。

 

「ノイルさん……!あれじゃ、後ろに逃げられないんじゃ……」

 

《平気なのだわ。火炎秋津龍は炎のトサカを持つがゆえに、燃えやすい木や草花には一定以上近づけないのだわ。ノイルは背後に春花の木を置くことで、敵を自分の前方のみに集め、包囲されることを防いでいるのだわ!》

 

 ノイルはその場に立ったまま、素早く、だが的確に、襲い来る秋津龍を一体一体斬り落としていく。

 まるで予め、敵がどう動き、どう襲って来るかが読めているかのようだった。

 

《高位のボスやラスボス級ならともかく、一般のモンスターは攻撃パターンがある程度限られているのだわ。それを把握し、覚えておけば、敵の攻撃を防ぐのも倒すのも、そう難しいことではないのだわ。……まぁ、ある程度の冒険レベルは必要なのだけれど……》

「へぇ……」

 

 私は感心し、より一層真剣にノイルの戦闘に見入った。

 

 私が矢でサポートするまでもなく、ノイルはついに最後の一体も地面に斬り落とす。

 

「すごいです、ノイルさん……!」

 

 まるで“すごい試合を見守った後の体育会系の部活のマネージャー”のような気持ちでノイルに駆け寄ろうとする……が、その寸前に発せられたアイナの一言に、私は思わず足を止めていた。

 

《アリスのレベルが上がったのだわ。風刃攻撃魔術(イフカティアマク)Lv1を覚えたのだわ》

 

「……え!?だって、私、モンスター倒してないのに!?」

 

《エスリヴェールの冒険レベル制度は『モンスターを何体倒したからレベルが1上がる』というような単純なものではないのだわ。レベル上昇に必要な“経験値”は、知識や修練、経験などにより積み重ねられ磨かれた、戦闘技術やバトル・センス、冒険スキルなどを総合的に数値化したものなのだわ。ノイルのような手練のムダの無い戦闘を、こんなに近くで“お手本”として見ていたのだから、初心者のアリスのレベルが上がるのは当然のことなのだわ》

 

「え……。でも、見てただけなのに……いいのかな?」

 

《分かってないのだわね。どんな素晴らしいお手本を目の前に用意されたところで、そこから何かを学び、あわよくばその技術を目で盗もうという気がなければ、経験値なんて伸びないのだわ。アナタはただボーッとノイルの戦闘を見ているわけではなく、その動きを分析し、自らの今後の戦闘に活かそうと無意識に“研究”しているのだわ。その結果がレベルアップにつながっているのだわ。正当な成果なのだわ》

 

 ……そうか。この世界は、そんな無意識の努力さえ拾い上げて評価してくれるのか。

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  • ピクシブさんに投稿させていただいている乙女ゲーム風小説「選帝のアリス」の没シーンです。
  • 乙女ゲーム”風というのは、単に乙女ゲーム風の“世界観”ということではなく、ピクシブさん独自の小説投稿用特殊タグを利用して読者が好きな攻略対象キャラクターのルートを“選択”できるようになっている、ということです。
  • 今回載せた部分は第4章「四月は選帝のハジマリ」の軍人系キャラ“ノイル”のルート「ノイルと春のモンスター・ハント」の9段落目に入るはずだった部分です。
  • 実際の9段落目は、ここに載せてあるものより、かなり「はしょった」形になっています。
  • 没にしたのはシーン自体に問題があったわけではなく、1つ1つの戦闘をあまりに詳細に描いていくと、1キャラのルートが長くなり過ぎる&全体のテンポが悪くなる、ということで削っただけです。
  • 攻略対象キャラの一人(皇帝候補の一人)ノイル・ドロウスは皇帝直属軍団長の息子で、現在は選帝のため軍を休職して浮遊城に上がっています。
  • 冒険に出ている理由は、腕を鈍らせないためのトレーニング目的が1つ。そして他にも目的があります。
  • 主人公のアリス(←プレイヤー名)の冒険者としての職業は医療系魔術を中心に習得していく“医療系魔術弓士”です。
  • 台詞が《 》で表示されているのは主人公アリスの案内役となるチェシャ猫型マスコット「アイナ」です。
  • 皇帝候補として集められているのは全部で7人です。
  • 攻略対象キャラクターにより、ルートの雰囲気はかなり変わります。(宮廷ロマンス風だったり、RPG風冒険モノだったり……。)
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