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言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜

管理人が妄想したシーンやシチュエーションをショート・ストーリー(?)にしたもの。
ジャンルはファンタジー・恋愛などなど。

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守護霊の恋
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JUGEMテーマ:短編小説

 

 あんたは知らなかっただろうけど、ずっとあんたを見ていたよ。

 最初は正直『憑くならもっと美人が良かった』なんて思っていた。

 でも今は、あんたでなきゃ駄目だったと思っているんだ。

 

 あんた、損な性分だよな。

 今の世の中、自分のことだけでいっぱいいっぱいで、他人のことになんかまるで目が向いていない人間ばかりだって言うのに。

 あんたはいつでも周りの人間を気にして、誰かの苦労や痛みに気づいちまう。

 だけど、気づいて手を差し伸べたところで、感謝してくれる人間ばかりでもないよな。

 怪訝な顔をされたり、ウザがられたり、恩を仇で返されたり……。

 あんたがそうして傷ついていくのも、何もできずに見ていたよ。

 

 いい加減やめればいいのに――そう何度も思っていた。

 皆、他人のことなんか構わずに、もっとラクして生きているんだから。

 だけど、あんたは無視できない。

 否応なく見えてしまう他人の痛みに“知らんぷり”することに、あんたの心が耐えられないんだ。

 優しい心の人間ってのは、生きてるだけで苦労するものなんだな。

 

 守護霊なんて言っても、できることなんか本当に少ないんだ。

 現実に起きる出来事に、手を加えられるわけじゃない。

 守れるのは、同じ“霊”から加えられる害悪からだけ。

 

 あんた、心がきれい過ぎるから、やたらいろんな悪霊に狙われて、そのたびに俺は苦労してきたんだぜ。知らなかっただろう?

 

 幸い、俺もそれなりに強い霊だったようで、今までは何だかんだ言いながらも、あんたに群がる悪霊を払って来られた。

 ……だけど、今回はちょっと、駄目だったみたいだ。

 

 あそこまで強力な悪霊まで引き寄せちまうなんて、あんたって本当、魂の純度が高いにもほどがあるよ。

 生前は根性ナシの事なかれ主義者で、他人の不幸なんて完全スルーの俺だったから、正直、逃げ出したくもなったよ。

 だけど――あんたが悪霊にとり憑かれて、あんたの中の優しさや、傷つきやすさや、芯の強さ――あんたを構成する綺麗なもの全てを奪われて、この世界の何にも心動かされない、人形みたいになっちまうのだけは、見たくなかったんだ。

 

 俺はもう、この世に留まれるだけの霊力も残っちゃいないけど、あんたを守りきれただけで満足だ。

 ――まさかこの俺が、自分でなく誰かのために命を削って、それをこんなにも誇らしく、自慢に思えるなんて、おかしなもんだ。

 生前はちっともそんなキャラじゃなかったのにな。これもきっと、あんたのせいだよ。

 

 俺はもういなくなるけど、後任に就く他の誰かも、きっとあんたを好きになる。

 あんたはそういう人だ。だから安心していい。

 あんたをこの目で見守り続けられないことが、心残りで未練だが、こればっかりは仕方ないよな。

 

 ――あんたは知らないままだろうけど、ずっとあんたを見てきたよ。

 いつかその長い人生を全うしてこの世を離れる時、あんたが俺のことを少しでも知って、何かを思ってくれるなら、俺はそれだけでもう、充分だ。

 ……もうそろそろ行かないと、だな。……元気で。

 なるべくでいいから、長生きしろよ。

記事続き

・<守護霊→霊感の無い守護対象>目線のモノローグです。

 

・守護対象の性格については何となく、吉野弘さんの詩「夕焼け」の影響が出ているかも知れません。

(国語の教科書にも載った有名な詩なので、ご存知の方は多いかも知れませんね。
自分は国語の教科書を「アンソロジー」的な「読み物」として見ていたので、授業でやっていない部分も知っていますし、兄弟など自分以外の世代のものも知ってしますし、影響もそれなりに受けているのです。
花咲く夜に君の名を呼ぶ」などもアイディアの源は国語の教科書ですし。)

 

・幽霊なのに「命を削る」という表現はビミョウと言えばビミョウなのですが、比喩的な表現ということで「まぁ、いいかな」と…。

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