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言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜

管理人が妄想したシーンやシチュエーションをショート・ストーリー(?)にしたもの。
ジャンルはファンタジー・恋愛などなど。

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あなたの声は、フルートの吐息。
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JUGEMテーマ:ものがたり

 

 何であんな無愛想な男が好きなの?なんて、友達にはよく言われるよ。

 
 あなたはフルートに関しては超がつくほどの天才だけど、コミュニケーション能力に関しては完全に人並み以下で、人と話している時間より、フルートを奏でている時間の方が長いくらいに無口な人だから。

 

 今まで何人かの女の子が、あなたの才能に惹かれてつき合ったけど、皆あなたの口数の少なさと無表情ぶりに困惑して、だんだん離れていったよね。一時期「来る者拒まず、去る者追わず」なんて噂されていたけど――私、知ってたよ。

 あなたが恋人を失うたびに、本当は傷ついていたことを。

 

 あなたはたぶん、とても不器用な人なんだろうね。

 あるいは感情を表に出すのが恐い、のかな?

 私も同じだから分かるよ。

 
 べつに心が“無い”わけじゃないのにね。

 ただ表に出せていないだけで、頭の中ではいろいろな感情が渦巻いているのにね。

 
 感情を苦も無く表に出せる人たちには、なかなか分かってもらえない。

 冷めてるだとかクールだとか、愛想が無いとか誤解されて、離れていかれたり、的外れな文句を言われたり……。
 そうすると、余計に感情を表すのが恐くなって、結局は悪循環。

 あなたも、そうだったりするのかな?

 

 あなたは周りから感情が乏しい人のように言われているけれど、本当は誰よりも豊かな感情を持っている。
 私には分かるよ。あなたのフルートを聴けば分かる。
 あなたの心は言葉に乗って口から外へ出る代わりに、フルートの音色に乗って、音楽としてあなたの外に出て来るの。

 

 あなたの音を初めて聴いた時のこと、今でもよく覚えてる。
 こんなにあたたかい“声”を聴いたのは、初めてだと思った。

 あなたのフルートを聴くまでは、それが人間の吐息によって奏でられているということさえ、忘れていたのに。

 
 あなたの奏でる笛の音は、人の息づかいそのもの。喜びや悲しみに震える人間の、声無き声。
 あなたの胸から零れたそれは、フルートの銀管の内を通り抜け、この世界の空気を震わせ、妙なる音色となって響き渡るの。

 

 言葉で感情を表すのが下手な人は、その代わりに別の方法で感情を表現することが上手くなるのかも知れない。
 他の人たちは、技巧がどうの、表現力がどうのと褒めそやすけど……。あなたはきっと、自分の心のおもむくままにフルートで“歌って”いるだけ。
 あなたの奏でる音が皆の心を打つのは、きっとそれだけ豊かな心が、あなたの中に在るからだと、私は思うんだ。

 

 今日もあなたの“声”が聴こえる。あなたの吐く息。あなたのフルートの歌う声が。
 千の言葉よりも雄弁に、あなたの心を伝えているよ。

 気がついているのは、今は私だけかも知れないけれど。

 

 私があなたに気づいたように、いつかあなたも私のことに気づいてくれるといいな。
 今はまだ、想いを伝える勇気も無い私だけど、一つ、ささやかな野望を持っているんだ。

 

 いつか、あなたと一緒のステージで演奏したい。
 天才のあなたと同じステージに立つには、きっと血のにじむような努力が必要だろうけど……。

 
 あなたのフルートの優しい吐息と、私の奏でる音とが、重なり合い、やわらかく溶け混じって、空気を震わせ、この世界に響く――それを想像するだけで、不思議と、どんな努力も全然苦しくなくなるんだ。

 

 気づいてね。あなたを想って紡ぐ音に。
 あなたへの想いに震える、この心の“声”に……いつか、どうか、気づいてね。

 

記事続き

 

・たぶん、音大か何かのキャンパス・ラブ設定。

(でも作者は音大に通ったことが無いのであくまで想像。)

 

・主人公が何の楽器をやっている人なのかは謎のまま。

 

・フルートの“銀管”という表現がありますが、フルートは必ずしも銀でできているとは限りません。

(現代の一般的なフルートは3つのパーツに分解できるのですが、口を当てるパーツだけ銀でできていることはあります。あと、銀どころかゴールド・フルートなるものも存在します。)

 なので、本文中のこの部分は“銀色の管”的な感じで受け止めていただけるとありがたいです。

 

・ちなみに自分がフルートの音色に人の息づかいを感じたのはプロのフルート奏者ジェームズ・ゴールウェイ(James Galway)さんのCDを聴いた時です。

   ↑

・ちなみに音色についてはほんのりモデルにしていないでもないですが、ジェームズ・ゴールウェイさんご本人はおヒゲの生えたダンディナイス・ミドル紳士ですので、人物像的にはモデルにしていません。

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